屋上で寝転ぶ火原の元に、1人の少女がやってきた。
「火原先輩。」
「あ〜ちゃん・・・」
「またお腹空いちゃったんですか?」
「んー、アタリ〜・・・」
空腹のあまり起き上がる気力のない火原の前に、は手に持っていた紙袋からパンをひとつ取り出した。
「じゃぁ差し入れ。」
「え?何?これ、おれにくれるの!?」
「購買の残りで悪いんですけど・・・」
「そんなの全然いいっ!イッタダキマース♪」
勢い良く袋を破り、メロンパンに頬張る火原を見ていると自然と笑みが零れる。
「購買のおばさんがひとりお休みで、お片付けを手伝ったら売れ残りのパン分けてくれたんですよ。」
「へぇ〜。おれも行ったらカツサンド貰えたかな?」
「それは無理ですよ。カツサンドは人気商品だから、きっと昼休みの間に売れちゃってます。」
「だよなぁ・・・ぐっ、げほっごほっっ!」
「火原先輩!?」
喋りながらパンを頬張っていたのが悪いのか、火原が急に咳き込み始めた。
何か飲み物でも・・・と思ったけれど、生憎が持っているのはパンのみ。
「大丈夫ですか?先輩!」
おろおろしながらも、咳き込む火原の背をさする。
「だ、だいじょ・・・げほほっ」
「先輩・・・」
大丈夫と言いながらも、再び咳き込む火原を心配そうに見つめる。
やがて大きく喉を鳴らした火原は、の方を見てにっこり笑顔でこう言った。
「はー、美味かった♪」
「・・・先輩?」
「ごちそうさま、ちゃん。」
「喉につまったんじゃ・・・」
「ん?あぁ、おれ勢いよく食べるから、よくあーなっちゃうんだよね。柚木にも「もっと落ち着いて食べなよ」って言われるんだけど、お腹空いてると喉に詰まらせるくらいの勢いで食べちゃうからさ。」
あはははは、と明るく笑いながら言う火原を見て、思わずが瞳を潤ませる。
「・・・へ?」
「・・・」
「ちゃん?」
「・・・」
「もしかして、おれ・・・心配、させちゃった?」
声に出す事が出来ず、小さく頷くと火原が途端におろおろし始めた。
「ごめんっ!まさかそんな風にちゃんが心配してくれるとは思わなくて・・・あの、ホントごめんっ!!」
両手を合わせて謝る火原の顔を見る事が出来ず、零れそうになる涙を手の甲で拭う。
その様子を見て更に慌てた火原は、の肩をガシッと掴むとこう言った。
「お詫びに、ちゃんの好きな曲なんでも吹く!」
「・・・」
その声に反応してがゆっくりと顔を上げた。
「・・・なんでも?」
「うん!なんでも!!」
汚れた手をズボンで拭い、ケースに入れていたトランペットを取り出し立ち上がる。
「ちゃんの好きな曲、何曲でも吹くから・・・それで許してくれる?」
「・・・」
「えーっと・・・」
困惑した顔をした火原を見ていると、逆にこっちが悪い事をしている気分になってくる。
は苦笑しつつもその場にしゃがみ、火原にある曲をリクエストした。
「じゃぁ、今チョコレートのCMで流れてる曲。」
「えぇ!?最初っからそんな難題!?」
「・・・出来ないんですかぁ?」
わざとらしく拗ねたような顔で火原を見ると、急に戸惑った表情を見せる。
「わ、分かったよぉっ!」
それから暫くの間、屋上からは軽快なトランペットの音に混じり、時折楽しそうに笑う男女の声が響いていたとか。
はい、ネオロマ系制覇するつもりはないんですが、書いた事のないジャンルの話が書きたかったので書いてみました。
コルダはアラモードのイベントでミニドラマを見るまで、大して興味もなく話もサッパリ分からない状態でした。
でもイベントで気になり始めて、人様に漫画を借りたら結構面白くて片足くらいはまりました(笑)
でも音楽オンチな私的にはクラッシックは分からないわ、楽器は分からないわで遙か以上に難しいモノとなりました。
という訳で、今回も偽者バンザイな状態になってますが、その辺大目に見てやって下さいm(_ _)m
ちなみに火原先輩は素直で可愛いと言う認識です。
漫画読んでたら、本当に可愛くて可愛くて!カツサンドあげたら、あげただけ曲弾いてくれそうな気がします(笑)
でもこの人、どうしてあの柚木先輩とお友達なんですか?(素朴な疑問)